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 骨折

 直接、または間接的に強い外力が加わり、骨のつながりが途絶えてしまうことを
  骨折といいます。
 
 一般的にヒビと呼ばれるものも骨折になります。また、激しい運動を繰り返して
 いるうちに【いつのまにか骨折(疲労骨折)】しているといったケースも見受けら
 れるので運動を日課にされている方は注意が必要です。症状として骨折した部分
 を押すと強い痛み(限局性圧痛)を感じ、骨折部分からの出血(皮下出血)がみ
 られ炎症による腫脹が出ます。
 また、転位(骨のズレ)があると外見上、曲がったように受傷部位が変形した
 り、関節以外での場所で骨が動く異常可動性がみられます。

 鎖骨骨折

 転倒して手や肩を衝いた際に、鎖骨に衝撃が加わり骨折します。鎖骨はその形状 
 から真ん中よりも外側(中外1/3)で骨折することが多いです。
症状として、骨折部の圧痛が著明であり、受傷直後は骨折部のズレを確認することができます。
※小児では、骨が柔らかいため不全骨折になる場合が多く、症状が軽く見落としやすいが、抱っこをした際に強い痛みを訴えます。
整復動作(元の位置に骨を戻すこと)として、ベッドに仰向けにする際にクッションを背中にあて、胸を開かせるように寝てもらいます。そうする事により、鎖骨の骨折した部分が元の位置に戻ります。ズレの大きい骨折でもこの動作を繰り返すことによって、元の位置に戻ります。
固定期間は大人で約4~5週、小児で3~4週間です。鎖骨骨折の固定は肩関節の拘縮(可動域制限)が起こりやすいのですが、早い時期から鎖骨の骨折部をキチンと転位しないよう把握し、肩関節を1日1回は動かすようにしているので、固定をしていても拘縮を最小限に抑えるようにしています。

※鎖骨骨折はほとんどが保存療法で治ります。
手術適応となるのは、粉砕骨折(骨がバラバラに砕ける)
小さな骨片があるため骨折部を合わせるのが困難な場合。
鎖骨外端骨折で、靭帯の断裂も併発している場合。などが挙げられます。
肋骨骨折
肋骨骨折は胸部を強く打つ、胸部を強く挟まれ前から圧迫される事により生じます。高齢者では、くしゃみなどで発生する事もあります。
また、ゴルフのスイングによる疲労骨折があります。
肋骨は12本あり、内蔵を守るように囲んで胸郭を形成しています。胸郭は吸った時に広がり、吐く時に縮む為、肋骨にも動きがあります。そのため、骨折してしまうと症状として咳・くしゃみ・深呼吸時に痛みが出ます。特に肋骨骨折時の大切な確認として、内臓器の損傷の有無を確認します。
治療として取り外しの出来るバンド固定を施し、受傷部位に対して痛みが和らぐ方向に胸郭を伸ばして(導いて)あげる事が大切です。その後、背部の緊張を取り除くように動きをつけていき、症状を改善します。
上腕骨外科頸骨折
上腕骨のつけ根部分の骨折です。この骨折は高齢者には特に多い骨折の1つで、転倒の際に手をついた状態で受傷することが多いです。この部分は解剖学的に骨折が多い場所で受傷の角度により内転型と外転型に分類されます。

治療としてはまず、骨折部の徒手整復を行い、当院ではハンギングキャスト固定を受傷後約4~5週間施します。この固定法により固定除去後の関節拘縮を最小限に留め、その後のリハビリを行っていきます。
コーレス骨折
コーレス骨折とは、橈骨と呼ばれる骨の遠位端(手首に近い位置)の骨折です。この骨折はとても頻度が高い骨折で、あらゆる骨折の約20%を占めます。
この骨折は、転倒して手を突いた際に発生します。手関節周辺の強い腫れとともに強い痛みがあり、手関節を動かすことが出来なくなります。折れた骨の変形や、それによる腫れによって神経が圧迫されて指が痺(しび)れる事もあります。

骨折した骨の整復(元の位置に戻す)を行います。変形を残さないようにする為、転位の少ない骨折の場合でも整復動作は行います。
固定期間は約4~5週間ですが、関節拘縮が極力残さないようにする為、固定を入れた状態でも可能な範囲で刺激を入れていきます。固定を外した後は電気療法や、手技療法など物理療法を行いながら完治させます。

 
ボクサー骨折
手の甲の部分の骨を中手骨といい、指先側の太くなっている部分を骨頭、その根本の細くなった部分を頚部といい、この部分の骨折です。
こぶしを強打することで起こる骨折のため、ボクサー骨折と呼ばれます。薬指や小指に多発します。
手の甲が腫れ、折れた部分が甲側に凸となる変形の為、骨折した指のこぶしがへこんで見えます。また、軽く指を握った時、指の向きがズレる現象(オーバーラッピング)が起こります。

症状として、痛みが練習後に現れるものから安静にしていても続くものもあるので注意が必要です。
骨折が見つかった時点で運動を中止し、固定を必要とします。異常が出た場合は早期の来院をして下さい。
マレットフィンガー
「突き指」でよく起きるケガです。指の第1関節に痛み・腫れがあり、外見上曲がったまま、自分では伸ばせなくなります。その理由は大きく分けて2つあり、1つは末節骨(指の第1関節)に付着している指を伸ばす為の腱が切れてしまった場合。もう1つは、その腱が付着している部分が剥がれてしまった場合(剥離骨折)があります。損傷のタイプや程度により治療方法が異なります。
この症状は3つに分類されます。
[Ⅰ型]
 指先の腱が切れた場合
[Ⅱ型]
 腱が付着している部分で骨が剥がれる様に骨折しているもの
[Ⅲ型]
 関節内骨折を生じ、指を伸ばすと脱臼して骨が繋がらないもの

上記のⅠ型とⅡ型は保存療法で治療を行い、Ⅲ型の場合は保存療法が基本となりますが、骨の転位を整復(骨のズレを元の位置に戻す)できない場合や、整復した状態がある程度の範囲で維持できない場合などには手術を検討しなければならないこともあります。
舟状骨骨折

転倒により地面に手を衝くと、まずコーレス骨折(橈骨遠位端骨折)を疑います。ただし、10代後半~30代の青壮年がそのようなケガをした場合には舟状骨骨折の鑑別もしなければなりません。舟状骨とは、手首にある小さな骨の1つで、手を衝いた時に近接する骨から力が加わりやすい場所にあります。
見た目の腫れが少なく、骨折のズレが小さい場合は痛みもあまり強くありません。
レントゲン検査でも初期には骨折が見つからない時が多く、2~4週間後に再検査で確認できる事も少なくありません。
また、この骨折は骨がつきにくい骨折の代表格です。ですから、レントゲン検査で異常が無くても以下のことが当てはまる時には骨折を疑い、ギプス固定をすべきです。

・手を開いたとき、親指の付け根に圧痛がある場合。
・握手すると手首の親指側が痛む。
・その他、手関節の橈背屈運動痛、第1・2指の軸圧痛がある場合。

外果(外くるぶし)剥離骨折
主にスポーツ等で足首を内返しにひねった際に起こります。
外果には足首を補強する三本の靭帯が付着しており、主にそのうち一本の靭帯(前距腓靭帯)が足首をひねった力に耐えきれず、踝(くるぶし)を引っ張り骨がはがれるようにカケてしまう骨折です。
剥離骨折は痛みを伴いますが、歩けなくなったり、立ち上がれなくなったりといった症状が出ないこともあるので重度の捻挫と症状が似ている為に鑑別が必要です。

治療は、腫れに対し光線、冷却療法を行います。続いて患部の安静を保つ為、足首の形に合わせた着脱可能な装具を制作し、包帯で固定します。固定期間は重症度により異なりますが、約3〜4週間となります。
その後固定を外し後遺症を残さないよう足首のリハビリを行いながらテーピングなどでサポートします。
疲労骨折
疲労骨折とは一回では骨折に至らない軽い力が、骨の同じ場所に繰り返し加わる事で起こる骨折です。
よく起こる場所として、脛骨や腓骨と呼ばれる下腿骨(膝から下の骨)、中足骨(足の指の付け根)や肋骨などです。
陸上競技やバスケットボールなど、長時間の疾走やジャンプを繰り返し行うスポーツで発生することが非常に多く、疲労による筋肉のツッパリが原因になります。

症状として、痛みが練習後に現れるものから安静にしていても続くものもあるので注意が必要です。
骨折が見つかった時点で運動を中止し、固定を必要とします。異常が出た場合は早期の来院をして下さい。
中足骨骨折
中足骨疲労骨折は、ランニングやジャンプ動作による過度の体重負荷が、
長時間、足部アーチに繰り返し加わることで発生するオーバーユース(使いすぎ)
に起因する足のスポーツ障害です。金属疲労(金属板の折り曲げ運動)と同様に、繰り返し中足骨(足アーチ)へ体重負荷が加わって起こるので、
急に起こる骨折とは発生原因が異なり見過ごされることがあります。
キーワード:成長期選手、オーバーユース、ランニング

・診断・
足背中央の疼痛、熱感、腫張〈しゅちょう〉の存在に加え、
レントゲン検査で骨折による仮骨形成(新しい骨)、骨硬化像
(レントゲンで白色化)が認められる場合が典型例です。
しかし、発症直後はレントゲン上で異常を認めない場合があり、
症状が続く場合は2~3週間後に再検査をしてください
(明らかな骨折線を認めない場合が多いため)。
レントゲン断層撮影、骨シンチグラム、MRIなども有用です。

・好発スポーツ・
走ったり飛ぶスポーツ、サッカー、・ラグビー、バレーボール、マラソンや
長距離競技に好発しますが、バスケットボールや剣道、野球などでも発生します。

・スポーツレベル・
筋力バランスや柔軟性低下、過剰なトレーニングによって起こりやすく、
トップレベルから一般競技者まで幅広くみられます。

・好発年齢・
骨成長期の選手、特に10歳くらい~高校生が好発年齢ですが
、種目や運動量により成人でも発生する場合があります。
 
・治療方法・
ランニングなどの荷重トレーニングは約4週間は禁止、
疼痛部のアイシング、歩行時に強い疼痛がある場合は
松葉杖などによる免荷が必要となります。
活動はプール歩行やエアロバイクなど体重の掛からない練習から始めてください。
 
・注意点・
中途半端な練習休止は再発し、難治化します。
練習再開に際しては、オーバーワークにならないような
トレーニングメニューの再考が必要です。
また、ストレッチによる足関節、膝関節、特に股関節の柔軟性獲得を図り、
ランニングによる足部への負担を軽減する必要があります。
 

 脱臼

脱臼とは、「関節を構成している関節端が解剖学的状態から完全、または不完全に転位して関節面の生理的相対関係が失われている状態」をいいます。
つまり、関節を構成している骨が外れ、元の正常な位置に戻らない状態を脱臼といいます。
完全に関節が外れたものを完全脱臼、位置がずれた程度のものなら亜脱臼といいます。いずれも関節を支える靭帯などの組織に損傷が起こっています。
症状として、痛みが練習後に現れるものから安静にしていても続くものもあるので注意が必要です。
骨折が見つかった時点で運動を中止し、固定を必要とします。骨折に至らないよう当院では痛みの部分の観察をし、その時の適切な治療をさせて頂いておりますので、異常が出た場合は早期の来院をして下さい。

肩関節脱臼

肩関節は小さい受け皿(肩甲骨関節窩)の上に大きな球体(上腕骨骨頭)が乗っているような構造になっています。
肩関節脱臼には上腕骨頭のずれる方向によって前方脱臼、後方脱臼、下方脱臼に分類されます。その内、前方脱臼が全体の95%を占めます。

前方脱臼は転倒した際に肘が伸びた状態で、後ろに手を衝いた際に起こります。
症状として、激しい肩の痛み、脱臼した方向によって腕が独特な位置にて動かなくなります。その上腕骨骨頭の位置を確認し、元に戻す(整復)を行います。その後、テーピングと包帯による固定を施し、少しずつ肩関節の動きを取り戻す治療を行っていきます。

肘内障

一般的に「肘が外れた」と言われる疾患です。小児に多く、小学生に上がる頃には発症しなくなる肘部の「輪状靭帯」が骨から逸脱する状態です。
原因として、手を引っ張られて発症することが多く、よく外れる子は寝返りなどでも発症します。
主な症状は肘の痛みの為に腕を使いたがらないことですが、子供によっては肩や手首が痛いという事もあるので要注意です。
骨折や打撲の場合には患部の腫れや内出血が出ますが、肘内障の場合には腫れる事はありません。

肘に特定の動作を加えることで簡単に整復でき、整復後は肘を動かし始めますので整復確認は容易に出来ます。
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